しかしながら男性が糖尿病を患い、少しずつセックスが出来なくなってくると、理佳子を束縛し始めたのだ。

男は自分のセックスに自信が無くなると嫉妬深くなり、女性の異性関係に妄想を抱くようになるのだろうか。女性は自分の所有物であり、自分のセックスだけで満足させたい。他の男になびくなど許せない。自分が可愛がっているものが失われるという不安が増幅していく。

逢う回数が減ったのとは裏腹に、月極で十五万円が振り込まれるようになり、いつの間にか定期的に連絡を入れることが義務となった。

それがエスカレートして毎日、仕事のことも仕事以外のことも、今日は何をしたのか報告しなければならなくなる。

理佳子はもとより浮気などするつもりも興味も無かったが、日課の連絡が遅れたりすると男性の執拗な問い詰めにあい、休憩時間などにロッカーに置いてある携帯電話を見ると多くのメールや電話が入っていることもしばしばだった。

さすがの理佳子も不安になり、このまま付き合い続けるとどうなるんだろう、そもそも付き合えるのか。自分から付き合いを終わらせることなど出来るのだろうか。

そんなことを考え始めた頃に、

「辛くなるだけなので、もう理佳子とは付き合えない。若い男でも見つけるなり結婚するなりする方がいいだろう」

と突然別れを告げられたのだった。

本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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