第五章 姿勢を正す

「曲げ」よりも「伸ばし」

姿勢が悪い人は、指も曲がっているというのが私の持論だ。腱鞘炎(けんしょうえん)の原因も、基本的には姿勢が握っている。コンピューターに向かって仕事をしている人などは、常に姿勢が曲がって肩も凝っている。指も曲げて、腕は宙に浮かせている。そうすると、徐々に炎症を引き起こしていく。さらに、同じ姿勢でいると、腕や指などの筋が伸びなくなる。

テレビでは筋トレなどと称して「曲げの運動」を勧めているが、肝心なのは「伸ばしの運動」を行うこと。世間ではテレビの影響もあってか、曲げる運動はよくやっている。だが、重要なのは伸ばすこと。それをせんといかん。パソコンをずっとやっている人は、腕が宙に浮いているのがいかんのです。腕の重みを支えるために、常に力が入っている状態になる。ぬいぐるみでも何でもいいので、腕を支える位置にそっと置いてやることで、力がフッと抜ける。そうすれば血流が戻り、張りを抑えることができる。

「伸ばし」でケガや痛みのリスクを減らせ

曲がりのクセというものが、痛みの原因をつくっている。だから治療は「伸ばせ、伸ばせ」だ。腱鞘炎など一部分に痛みがあるから、ここだけ治せばいいというものではない。腱鞘炎というのは、全体が曲がっている状態が原因となって起こる。さらに、伸ばすことの重要さを説いても、指が硬い人の場合は、スポーツなどで、指が曲がったままの状態で試合を行うため、ケガのリスクが大きい。年寄りの場合は、指が伸びないと手首が硬くなり、地面に手をついただけで骨が折れてしまう。指や手首の柔軟性は、日々の生活に必要なのだ。ケガのリスクや痛みから逃れるためにも、「伸ばす」という行為が、いかに重要かということを覚えておいてほしい。

肩こりと腰痛は生まれいずる悩み

いい姿勢を取れば、あまりボロが出ないで済む。何もしなければ、少しずつ体が歪み曲がってきて、障害がどんどん出てくる。私たちにとって肩こりや腰痛は、生まれいずる悩みなんです。子どもは元気だと皆が思っているが、 ほとんどの子どもは肩こりで腰痛持ちだ。小さいころからそういう症状があるから、認識をしてないだけ。肩こりとか腰痛ということを、子どもは認識できていないだけなのだ。親も「子どもは元気だ」と信じているだけ。元気な子は、ほんの1〜2割。今の子どもは上を向いて寝ていない、横を向いて丸くなって寝ている子がほとんどだ。姿勢を悪くしている。だから、いい姿勢を取れというわけ。