俺は相当頭に血が上り、華菜を責めた。
「カモフラージュなんでしょ、問題ないじゃない」
「俺は本気だ」
華菜は許せないと言わんばかりに、俺を睨みつけた。
「男のところでも行ったんじゃないかしら」
俺はハッと気づいた。もしや圭人の墓に行ったのか。俺はまさかと思ったが、心配になり、圭人の墓に向かった。
「貢、どこに行くの」
俺はナビに住所を入れておいた霊園に向かった。墓の前で「沙優の居所を教えてくれ」と手を合わせた。
「本郷家のお知り合いの方ですかね」
俺に声をかけてきたのは、このお寺の住職だった。
「はい、沙優いえ、西ノ宮沙優さんを探しています」
「ほう、それは良かった、沙優さんなら、わしが預かっておる」
「ほんとうですか、二週間前に俺の前から居なくなってしまい、途方に暮れていました」
住職は「それはそれは」とニッコリ笑顔を見せた。
「さ、こちらへいらしてください」
俺は住職に案内されて、沙優のいる本堂へ向かった。沙優は本堂の掃除をしていた。
「沙優」
俺は沙優の姿を見つけると、駆け寄って抱きしめた。
「南條さん、どうしてここへ」
「沙優を迎えにきた」
「私を迎えにですか、華菜さんはご存知ですか」
「華菜は関係ない」
沙優はびっくりした様子で俺を見つめた。
「ご結婚おめでとうございます、私全然知らなくて……」
「華菜とは結婚はしない」
「えっ、どうしてですか」