小説 絵本・漫画 絵本 童話 2024.12.11 【大人が泣ける絵本】「とうちゃんは、井戸の底へむかって、上へ上へと、のぼっていきました…」 ミルフィーユのふうせん 【第6回】 青木 満 あの日、両手いっぱいのふうせんは、いっせいに大空に飛び立った。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ ダイナミックなスケールで詩情豊かに描かれる、大切な人に贈りたい絵本。※本記事は、青木 満氏の書籍『ミルフィーユのふうせん』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 ミルフィーユのふうせん
小説 『迷いながら揺れ動く女のこころ』 【最終回】 松村 勝正 主人は下半身麻痺で、車いすの生活です。障害を承知で結婚しました。でも、私は何もしません。入浴介助からリハビリまで… 「そうよ、山形さんも注意遊ばせ。二人で篠田、山形と苗字で呼び合うのはいかにも他人行儀ね。これからはお友達になったのだから、下の名前で呼びましょうよ。私は『陽子』。山形さんは?」「私は『美代子』と言います」「素敵な名前ね。美代子さんは青葉台でしたわね? 長いんですか?」「まだ二年程です」「お子さんは?」「いません。主人と二人きりです」「ご主人のお仕事、伺ってもいいかしら?」「主人は在宅で個人事務所…
小説 『海の梵鐘』 【第4回】 波方 遥 生活はようやく安定してきたものの、再婚してから生まれた子供に「心臓に雑音がある」と告げられたつね。それ以来… 「小豆一升の値段で、田圃一反」信じられない様な安い相場で、農地が手に入った。つねは意気揚々と家に戻り、剛三に報告した。剛三は、器量が悪いが度胸のある、若い女房を改めて見直した。ヤミ米の精米を中心とする収入は、次々と田畑の買収資金となった。精米の、新しい機械も買い入れた。つねの胴巻きには現金がしまわれ、その上からモンペの紐をしっかりしばっていた。田畑が増えた分、労働は厳しくなった。つねは近所に出来…