最後に、
「何か聞きたいことはありませんか?」
と尋ねられたので、私は、

「最高に治療がうまくいったとして、最短でいつごろ職場に復帰できますか?」
と質問しました。

「治療の結果、どうなるかは患者によって全然違うので断定的なことは何も言えないが、1年半から3年かかる人もいる。早くても1年半くらいではないかと思う」
と医師はおっしゃっていました。

「絶対に1年半で復帰する」
私は心のなかで呟きました。

医師による説明が終わって、妻と二人で自分の病室に戻りました。

「なんで、あなたが白血病にならなくてはいけないの?」

今まで緊張と我慢で抑えていた妻の感情が崩れて私に聞きました。

「そんなこと、僕にだってわからないよ。原因については不明なことが多いとお医者さんも言ってたじゃないか」

その後、ベッドに横たわった自分と横にいる妻と二人で泣きました。

本当に人生はいつ何があるかわかりません。「急性リンパ性白血病」は約10万人に1名の確率で発症するようです。でもなぜ、私がこの確率で当たってしまったのでしょうか。宝くじも当たったことがないのに……。違うとはわかっていても、原子力発電所の近くに見学に行ったのが悪いのか、仕事で疲れすぎたのが悪いのか、ほかの人に意地悪したのだろうか、いろいろなことを考えてしまいます。

しかし、しばらくして、

「先生がおっしゃっていたように、復帰する希望があるのだから頑張ろうね!」
と妻が言ったので、

「絶対に最短時間で復帰するから!」
と私は妻と自分に宣言しました。

【前回の記事を読む】朝起きると、背中の激痛と大量の汗。循環器科、消化器内科で検査を受けても病名が確定しない... 一体この病気とは...

次回更新は11月27日(水)、20時の予定です。

 

【イチオシ記事】突然の交通事故で意識不明の重体。目覚めると以前の面影が無いほど変わり果てた姿で…

【注目記事】「誰、どうして」…壁一つ隔てた部屋からかすかに女性の声が聞こえた夜