夜を駆ける――不倫発覚前半――
逃避温泉
婦人科が好きなわけではないのですが、婦人科へ行きました。
三人目を出産後、違和感、第六感。
医師は「これは、感染症です。旦那さんにも症状があるはず」。薄ら笑いで言われた。
心と裏腹に「明日、三面記事に載るかも」と先生に笑顔でお礼を言った。
元夫を問い詰めると「俺は通院しているから大丈夫」。聞きたいのはそこではない。
(あほかこいつ)
保育園から帰って来た子供たちを連れ温泉街に。
子供たちは久しぶりの小旅行にはしゃいでいた。
ご飯を食べさせ、お風呂に入れると疲れで心がどん底に落ちていく。
気が付くと、いつの間にか日が沈み、旅館の窓もどん底のような暗さだった。
追伸
旅館に宿泊したいが部屋は空いているかと聞くと旅館の人は困惑している。
それはそうだろう、夜に、一人をおんぶ、両手にはしゃぎまわる子供二人。
泊めたくないだろう。
それに鬼のような形相の私。
容赦なく
婦人科の診察台、何度経験しても嫌なものだ。
最後の抵抗で診察まで脚を固く閉じて、誰も見ていないのに顔も手でおおう。
カーテンの向こうで医師や看護士が忙しく動いている。
はたしてカーテンの向こうからの景色は。
とうとう、順番に。私の抵抗は何だったのかと思うほど、
脚が自動で機械の力で容赦なく。
初めての経験、医療の進歩に敗北。
追伸
知人は、診察台で順番が来た時。
「すみませんが、下着を取って下さい」と先生に言われた。
知人曰く、私の方がもっと恥ずかしかったと、威張っていた。