飲み屋のお姉さんなどが、ちょっと偉そうで年配のおじさんを「社長」とか「会長」とか呼んでおけば間違いが少なく、機嫌良くしてまたお店に来てくれると期待して適当に扱っているのとあまり変わらない。

そういう意味では「センセイ」というのは便利なことばだ。当選1回の新人にも、当選10回の大ベテランにも使えるし、名前をおぼえていなくても使える。少なくとも「センセイ」と言っておけば失礼にはならない。

確かに「センセイ」と呼ばれて悪い気はしない。初当選したばかりの頃は違和感やある種の気持ち悪さ、むず痒さもあったが、そんなものすぐに慣れる。そして、慣れればそれはそれで気分はよい。

ある団体の会で、「議員を『センセイ』と呼ぶことに抵抗がある、違和感がある、おかしいと思う」と面と向かって言ってくる人がいた。しかも私の顔を見ると何度も言ってきた。

その人は私よりずっと年配だったので、特に若い議員に対しては抵抗感があったのかもしれない。でもその人も人前では私を含め議員のことを「センセイ」と呼び続けていた。

一昔前「センセイ」には特権的なものが備わっていた。議員年金もその一つとされていたが、だいぶん前に廃止されてしまった。逆に今では議員のなり手不足を解消するためにも、議員年金を復活させるべきと言う人もいるが、議論の盛り上がりに欠ける。

議員には退職金がないので、年金ぐらいあっても個人的にはいいと思うが。ちなみに知事や市長には退職金がある。不公平ではないか。

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