メキシコ国境警察 PART16
ウイルソンとCompanyへの送金のこと。
彼がイスタンブールにいた頃は、彼が必要とするお金はわたしの銀行から振り込んだ。ある時から銀行はわたしが立て続けに大金を振り込んでいることを知って、わたしの振込に対して質問してきた。
振込は誰にするんですか? その目的は何ですか?
銀行はウイルソンへの振込を拒否した。
わたしは別の支店から振り込むことにした。
運がよければ応対してくれる。銀行員はわたしに質問はしない。振込を承諾してもらえる。
銀行からウイルソンへの振込が不可能になった後、次にウイルソンが見つけたのはWalmart to Walmart。
ここには人に自分の口座を貸して商売にしている人がいる。振込先の口座番号として使われるのは振込先の口座貸主の住所と名前。
Walmart to Walmartでは1日に振り込める最高限度額は$2,500(日本円で約26万円)。
しばらくWalmart to Walmartを使った彼への振込は続いた。
ある時彼は口座の貸主から条件を出されたらしい。貸主は1回の振込は最高限度額の$2,500にしてほしいとのこと。
それ以下の金額はWalmartまで確認に行くのはめんどくさいし、貰う手数料も少ない。
そしてウイルソンが見つけた次の彼への送金の仕方は、AppleのiTunesカード。
彼はAppleのカード式iPhoneを使っている。iTunesは絶対必要。
iTunesカードの裏をスクラッチすると番号が出てくる。
その番号を写真に撮って彼にLINEで送る。
彼はその番号をセットして自分のiPhoneに入れる。
セットしない未使用のカードはAppleストアーで買い取ってくれる。
カードを売った現金を彼は食費に充てる。
―よくいろいろ振り込み方法が思いつくよね、ウイルソンは。
Companyへの送金は4週間以内で支払いを全額終わらせる必要があったので、短期間に高額を引き出した。
ある時から銀行の窓口でお金を引き出そうとする度、銀行員は質問をして来た。
どこに送金するんですか? 何の為に使うのですか?
結果、それ以来ATMを使うようになった。ATMは毎日開いている。一日に引き出せる最高額を毎日ATMで引き出した。それでも銀行と銀行クレジットカード会社から、わたしに電話が来るようになった。
ATMから一日の最高額が毎日引き出されている。使いみちは何ですか? そして続けた。
これからもこんな事が続けばカードを閉じますよ!
銀行側も銀行クレジットカード会社もわたしを心配しての事。
世の中、詐欺師が多くなってる事を銀行側は知っている。変だと感じた時は即、忠告の電話をしてくる。
ATMを閉じられたらどうやってCompanyに振り込んだらいいんだろう。ATMからの引き出しが難しい事をCompanyに告げた。
Companyはこっちの都合なんて聞く耳は持たない。
Companyからの返事は、ロサンゼルスには支店がたくさんある。支店から引き出して振り込めばいいとの指示だけ。
言われるまでもなくこれまであちこちの支店回りをしてきた。
そしてCompanyは移民局への振込以降は個人宛の送金住所を送ってきた。
Companyの指示は現金をパックして送る事。届け先のサインは無しで。ギフトボックスが良い。小さ目の箱に現金を入れてパックするのが良い。
郵便局のスタッフによると、サイン無しの場合は危険度が高いとのこと。
配送スタッフによっては、届け先に誰もいない場合パックをドア前に置いていく。誰かに盗まれてもわからない。