愛しき女性たちへ
一
四十代も真ん中に差し掛かろうとしている中で、自分がオンナであることを忘れて十年以上過ごしてきた。もう結婚はこりごりだが、これで人生が終わるのかと思うと寂しさが募る。まだオンナでいたい。優しくエスコートされるようなデートもしたいし恋もしたい。
ちょっと怖いが久しぶりにオトコに抱かれもしたい。但しイイオトコが条件だ。紳士で清潔感があり、高級なお店でなくてもいいから他愛無い話や大人な話をしながら晩ご飯を一緒に食べる相手が欲しい。そして優しく抱かれて、出来れば金銭的なサポートも欲しい。
つまりパパ活だ。麻菜の歳では贅沢な望みだとわかっているし、第一そんな夢のような話があるわけがない。だけど人間夢が無いと、とも思うのだ。
自然な出会いなどもう望めない。外出なんてする余裕は無いし、職場でもそんなきっかけは起こらない。そうか! こういうのを孤独というのかな、などと考えていたら突然寂しさに襲われた。
このままじゃ眠れないと思った。子供たちはもう寝入っている。ネットで出会い系や交際クラブをサーフィンしてみることにした。
ちょっと覗いてみるだけ。女性の登録は多くの場合無料だが、出会い系は不安がある。どんな男なのかまるでわからず、その場限り、ワンナイトの恋人探しなのか、ただでヤレると思っているオトコも多そうだ。
風俗関係の業者だったり得体の知れない宗教や投資への勧誘もあるらしい。酷い目に遭ったという口コミもよく見るし、友人のリアルな話を聞いたこともある。
いわゆる交際クラブというものがある。男性は高額な入会金やセッティング料を支払い、好みの女性を写真や簡単なプロフィールリストから選んで運営事務局にデートを申し込むことになっているらしいが、女性は男性を選べず、相手の顔も背格好もよくわからないまま会うことになる。
だが大人の関係になったときのサポート希望額をあらかじめ男性は了解しており、容姿や年齢、職業にもよるが相場は三~五万円、交通費は別途一万円。
完全な女性の商品化だけれど、事務局が面談して審査に合格し、高額な入会金や年会費を支払った男性のみが入会を許されているので、ある程度安心出来る相手ではあるらしい。