経済構造が行き詰まった要因
資本主義経済構造が行き詰まった要因に、搾取の両端を挙げることができる。資本家は自由な生産で起業し責任を負うけれども、いかに少ない資本で最大の資本を生むかに執着している。
労働者を搾取する側である資本家は、搾取して得た利益でさらなる資本を注入し、社会に貢献するのだが、執着心が強い(沖縄の方言で言うと「ガニ」)資本家はタックスヘイブンを利用する。企業の内部留保が膨らむ構造である。
経済構造が行き詰まった原因のひとつに、政府の経済政策がある。
経済学者のケインズの唱えた波及効果、たとえば静かな湖に石を投げれば円形の波ができる現象で、社会資本(インフラ)、公共事業、ダム、道、川、港、学校、空港、橋、鉄道などに政府が事業を行えば民間が潤うのだが、資本主義経済構造では資本家がさらに拍車をかけて富の集中につながる。
需要と供給のバランス、いわゆる消費と生産が釣り合っていれば良いのだが、バランスが崩れ、独占企業状態になると、さらなる富の集中につながることになる。政府公共事業の資金は、国民や法人会社の税金でまかなっているため、富裕層や内部留保がたくさんある企業は税金を上げるべきなのだ。
市場原理主義経済の導入は、アメリカ合衆国ではレーガン元大統領による自由主義政策で始まり、低所得者に住宅ローンを貸しつけるサブプライムローンに発展した。
しかし返済が焦げつき、大手金融機関の破綻や危機になり、リーマンショックにつながった。最近のアメリカ合衆国と中国の貿易摩擦戦争も、経済構造の行き詰まった現象である。
昨今のアメリカのトランプ前大統領と日本の安倍晋三元総理が締結したアメリカ産農産物の関税撤廃、日本産自動車の関税据え置き条約も、経済構造の行き詰まった現象といえるだろう。