帰り道、なにを話してたのか聞くと、「かおるは育ての親への挨拶の仕方も知らない恩知らずな子だ、長崎に来ても顔も出さない失礼極まりない子だ、英語ができるようになったのも私のお陰なのにどこまで恩知らずなのか、恥を知れ」とカンカンに怒っていたそうだ。

それを聞いた私は大泣きし、新田のお母さんから無視されたから挨拶できなかったことを告げた。

「かおるは悪くない、何も悪くない、放っておけばいい、ああ面倒臭い」とママとパパは言って私を慰めてくれたが、私は号泣し、涙は簡単には止まらなかった。

その後、長崎に行く時は山口家に滞在し、新田家への手土産も持って、桃子姉ちゃんについてきてもらって挨拶に行くようになったが、新田のお母さんはそんな私にとても冷たかった。

 

お母さんの顔を見ると色々なことがよみがえり、言葉は出ず、怖すぎて涙しか出なかった。

お母さんの嫌がらせは、一体いつまで続くのか。

 

そして悪いことばかりではなく、実のパパともやっと会うことができた。

パパはとてもおっとりした人で、初めて会った時、私をギュウっと抱き締めてくれた。

とても温かく、大きな腕に包まれて幸せだった。

 

パパと会うと、今度は嬉しすぎてまた涙しか出なかった。

可愛い腹違いの妹も紹介してくれた。

この妹とは大人になった今でもとても仲良くしている。

 

家族想いのとっても優しい妹で、10歳も下なので私は妹が可愛くて仕方がなかった。

実のパパと妹は、その後ずっと私には温かく癒しの存在となった。