【第3章】賢い相続税の節税対策にはこんな知識が必要
税理士・弁護士だけでは賢い相続税節税対策はできない
相続税の節税対策は弁護士や税理士に相談すれば大丈夫と思っている方も多いと思います。確かに資産が莫大だったり、反対に資産が少なかったり、または相続する資産が金融資産だけなら、弁護士や税理士も頼りになる相談相手であることは、間違いありません。
しかし、例えば持ち家が東京23区内にあったり、使っていない土地を所有していたりする場合、弁護士や税理士だけを頼りにするのはあまり賢い方法ではありません。すでに説明しましたが、相続税を賢く節税するためには、持っている資産を少なく見せるための知恵が必要です。
しかし、弁護士や税理士は現状から適切に節税する方法は知っていますが、現状をより有利な状況、すなわち資産を少なく見せるための知恵は持ち合わせていません。このような知恵は、弁護士や税理士ではなく、むしろ私のような「金融大工」の方が豊富に持ち合わせていたりするのです。
なぜなら、相続税を理解した上で、設計、施工ができるということは、相続の条件を前提から変えることができるからです。建て替えの時などに、この相続の状況を踏まえ、設計、施工していくと相続税の対象から外していくことも可能なので、そもそも相続税に悩むことすらありません。
「金融大工」って何?
この本のタイトルにも「金融大工」という言葉を使っているのですが、この言葉を耳にしたことのある人はほとんどいないと思います。なぜなら、この言葉は私が造った造語だからです。
私は家を建てることも立派な事業だと考えています。事業である以上、事業計画を立案しなくてはいけません。その中には資金計画も含まれますが、多くの場合、金融機関からの資金を借りることになります。
どこに、どのくらいの家を建てるのに、いくら必要になり、その資金を一番有利に借りるためにはどうしたらいいかなど、賢く家を建てるのには金融の知識も必要になります。多くの大工さんは建物を建てるのは得意ですが、金融に関して詳しい人は決して多くはありません。
一方、私はお客様の事情に合わせて、事業計画を作成することも、また金融機関と交渉して、有利な融資条件を引き出すお手伝いもさせていただいています。このように、お客様の資金繰り面のサポートもできる大工という意味で、「金融大工」という言葉を使っているのです。
しかし、私も大工になりたての頃から、金融の知識を豊富に持っていた訳ではなく、さまざまな経験を積んでこれらの知識を手に入れてきました。次項で、どういう経緯を踏んで私が「金融大工」になったのか、その過程についてお話をしたいと思います。