【前回の記事を読む】詩集「星間通信」より3篇

63歳の自画像

とつぜん

おそろしく深い闇に侵食され

ぼくという1つの個体が

しづかに解体していく

そんな夢で

夜3時ごろ

目覚めたりする

終点を失った

たった1人の長距離走者

それが

エックス線透視ふうな

僕の裸像です

ぼくの心は

ぼう漠とした黒板です

しらぬまに書き殴られた

みえない星達の暗黒詩篇を

黙々と読解していくのが

もう1つ

63歳になった

僕の仕事です

ここでは

おそろしくくらい夜と

澄んだサファイヤの青空は

同義語ですが

それが実相として

わかってきたのも

歳だからでしょう