出発日が近づいた時、私は当日が日曜日であることに気付き、ある案を思い付いたのです。我が家は夫婦に息子・娘の4人家族。我々の専らの足は自転車です。当日の朝、自転車3台に私の荷物を分けて積み、空身で1人が走る……『なぎさまち』は我が家から5キロ弱。ゆっくり走っても30分みれば十分でしょう。

しかも、バテる前に4人で交代しつつ駅伝のように走れば、1人6・7分ずつで済むはずです。荷物と私を送って、帰りは3人が自転車で帰って来ればいい! この案を私は『駅伝送り』と命名しました。

早速家族に切り出すと、「面白そう!」との反応が返ってくるのが我が家なのです。

私は大の駅伝ファンで、学生時代の1月3日は小田急線の始発に乗って箱根湯本まで行き、駅前から国道1号線を箱根方面に歩き、ほとんど観客のいない函嶺洞門の手前で「山下り(箱根駅伝の復路)」を見るのが好きでした。

まだテレビの完全中継など無く、自衛隊の四輪駆動車が各校の伴走に付いていた古き良き時代です。以来、今も正月はテレビ観戦を欠かしません。現在住んでいる津市は、毎年11月に熱田神宮・伊勢神宮間で争われる全日本大学駅伝が通る街で、この当時は、こちらの沿道に足を運んで家族で応援していました。

かくして、我が家の新たなイベント『駅伝送り』の実行はすんなり決まったのです。

ちなみに我が家には陸上競技経験者は1人もいません。前夜の天気予報は見事に晴れマーク。全員が運動会の前日のように、早めに床につきました。