沙優は俺を大好きだと言ってくれた。しかし、誰かの犠牲の上に成り立つ幸せはあり得ないとのことだった。しかも、沙優は驚く言葉を俺に伝えた。
結婚はこの先誰ともしないと……
「沙優、どうしてなんだ、教えてくれ」
沙優は静かに話し始めた。
「もう、一人になりたくありません。結婚式当日、圭人が事故に遭って即死状態と聞いた時の私の気持ち、分かりますか、あんな思いは二度としたくないんです」
「沙優、俺はバイクには乗らないし、お前を一人にはしない、約束する」
「圭人だって同じこと言ってくれたのに、結婚式場には現れなかったんですよ」
「沙優」
沙優は目に涙を浮かべていた。俺は沙優を連れてマンションに戻った。婚約者のカモフラージュとして。