霧雨に
霧雨に煙って街はぼんやりミルク色
ともり始めた街灯がオレンジ色をまき散らす
たそがれに子供の声も聞こえ来て
車が一台ライトを照らして走り去った
今、私は家の中に一人
宿酔の後の留守番にて
悲しき程に美しい乳白色の世界を見入る
ひそやかな胃の痛みを感じながら ──
ああ、この景色の中に幾つもの幾つもの生が生き
しかもそれが何百年も何千年も繰り返していく
気の遠くなる程の数と連続性だ
私は溜息をつきながら窓を閉める
私も同じように生を生きている
醒めた後の嫌悪感を知りながら酒を飲まずにいられないのだ