第1章 フィリピンの特別永住権を取得するに至るまでの軌跡

パラオでの投資家ビザ取得と挫折

そこでいろいろな国を探していたところ、パラオという国を見つけ、「投資家ビザ」というものが取れるということなのでそのビザを取得することにしました。パラオは世界遺産に登録されており、観光地としても素晴らしい場所です。

世界的にも有名なダイビングスポットがあり、「ダイバーの聖地」と呼ばれています。残念ながら私は泳げないのでマリンスポーツはできませんが、そんな私でもいるだけで心からくつろげる特別な場所がパラオなのです。

実は、私は4年ほど前からパラオに7回ほど渡航し、永住権を取ることができないかトライしていました。その結果分かったのは、パラオでは永住権は取得できないということでした。

普通、現地の方と結婚すると配偶者ビザ(=永住権)がもらえるのですが、それすらも与えていません。パラオでは外国人に対して原則永住権を与えていないのです。私はどうしても諦めきれず、ビザだけでも取得したいと考え、現地の人脈を通じて、何とか投資家ビザを取得しました。

渡航費や滞在費はある程度抑えられるとしても、ビザを維持するのに年間200万円近くかかります。パラオでビジネスをしてパラオ人を雇う見返りとして投資家ビザを与えるというスキームなので、現地の人を雇用すると1年間最低1万ドル(110万円)はかかります。それにレンタルオフィス代が数万円。併せて月々10~15万円ほどになっていました。

将来的に投資家ビザを維持し続けるためには、かなり高額な費用を覚悟しなければなりません。結局、2017年にビザを泣く泣く放棄しました。

その大きな理由としては、ビザを取得する費用は40〜50万円とそれほど高くなかったのですが、ランニングコストの負担が大きいからです。ランニングコストの問題の他にも、パラオは人口2万人ほどの小さな島国ですので、もしそこでビジネスをしたとしてもマーケットが小さく、経営を維持発展させるのは極めて難しいという問題もありました。

私はこの経験を通じて、入手できる関係資料を基に自分が移住する場合の費用を具体的に計算し、ビザを維持するコストがどのくらいかかるか、そして将来性はあるのか、ということを十分に調べる必要があることを体感したのです。