基本的に、年上の人間と付き合うことが多かった私。長女だったし弟とも年が離れていたから、実家では〝出来たお姉さん〟を演じていたけれど、本当は、お姉ちゃんがほしかった。年上の人間といると、年齢が下というだけで可愛がってもらえる、うまみがあった。
小学生の頃から先輩や先生と仲良くしてきて、同級生を大事にしてこなかった。むしろ、年上と良好な関係を築けることを、誇りに思ってさえいた。その報いを大人になってから受けることになったのだが。
同級生の輪の中には、部外者は入っていかれない。職場で友人ができたとしても、その人たちには、昔から付き合ってきた仲間がいる。そこに入っていこうとすると、ある日とてつもない疎外感や孤独感に打ちのめされることを、私はよく知っていた。何度か経験したから。初対面の人間とも比較的すぐに仲良くなる術を持っていたけれど、結局は広く浅い関係しか、私にはなかったのだ。
だから、元村さんに健太君が加わって、急に同級生ができたようで……遅ればせながらの青春時代が訪れたようで、心が躍った。仕事帰りに居酒屋で飲んで、しょうもない話にいつも三人で大笑いした。健太君はアウトドア派で、色々な経験をさせてくれた。スノーボードをしに県外へ行き温泉に入って帰って来た日帰り旅行が、私にとっては学生っぽくてよかった。
私が久しぶりのスノボで転びまくって、二人が大笑い。温泉では元村さんとおっぱいの大きさを競い合って、結局私が負けたのだけれど、それを帰りの車内で話したら健太君が真っ赤になったものだから「ピュアだね~」とからかって楽しんだ。
あえて冬にキャンプするというのも健太君のオススメだった。黙々と作業をする彼を尻目に、女二人は「寒い、寒い」と文句を言う。でも、日が暮れ明かり一つない山中で、満天の星空を目の当たりにして、焼酎のお湯割りを片手に急に無言になって感動してしまったりした。