【前回の記事を読む】環境問題の深刻化によって注目…物流活動の「新たな視点」とは
第1章 情報革命からシン・物流革命へ
スマート物流サービスの推進
(二)モノの動きの見える化技術の確立
モノの動きの見える化については、求荷求車システム※1の高度化が大きなカギを握ることになりそうである。実は、求荷求車システムが大きな注目を集めたことはこれまでにも何度かあった。
特に大きな注目を集めたのは2000年代初頭であった。当時、「インターネットを活用しての帰り荷情報の獲得」というのは夢のビジネスモデルと考えられたのである。しかし、2000年初頭のネット環境では十分かつタイムリーな情報共有システムの構築ができず、競争参入企業は相次いだが、結局、生き残ることができた企業は数えるほどに過ぎなかった。
そして、そうして生き残った企業で市場が安定してきたところに、情報武装を高度化させた企業が新規参入してきたというのが、このところの潮流といえる。
求荷求車システム市場で実績を積み重ねてきた、WebKiT、トラボックス、トランコム、ロジボンなどに対して、Hacobu、SBSロジコム、ラクスル、さらにはリクルートも新規参入してきた。トラック輸送を行う場合、往路には貨物があっても復路には貨物、すなわち「帰り荷」がないケースがある。共同輸送などを推進し、帰り荷をあらかじめ確保することができれば問題はないが、そうでない場合、いかに帰り荷を確保するかということが環境対策の視点からも重要になる。
実際、荷物と車両のマッチングは、2000年代の草創期においては、一回限りのマッチングや掲示板などで橋渡しはするがあとは直接取引をしてもらう、といったタイプのものが多かった。
※1:求荷求車システム
求貨求車システムともいう。往路に荷物を運ぶトラックが復路の「帰り荷」を確保したり、荷主が荷物を運ぶ空き車両情報を入手したりするために用いる情報サイト、あるいはそのために用いられるシステムを指す。