結婚後も家族のために、『マジメ』に夫&父親をやり、浮気もせず、一度もフーゾクにも行かなかった。でも、そんな女性とは五四歳の時に自ら別れを告げた。忘れもしない、あれは二〇一三年九月十七日のこと。息子(当時十五歳)の誕生日の翌日。妻と息子には内緒で、一人家を出て行った。そして、ほぼ一年後の五五歳の時に正式に離婚した。
親に言われるまま、いわゆる『優等生』みたいな人生を歩んできた私であったが、この離婚を機に、『正しい方向に間違った人生』を歩んできた自分に気づき始めた。
学校の成績も良かったかもしれない、大学の体育会でもいい成績を挙げたかもしれない(関東国公立選手権で優勝した)、会社の給料も良かったかもしれない、難関国家資格も取得したかもしれない、綺麗な女性と結婚できたかもしれない。
でも今までは、ただ人に言われるがまま、期待されるがままの人生を生きてきただけではないか? 自分にとって一番大切なものは何なのか? 『マジメ』に生きることか、人に褒められたり羨ましがられたりすることか、家族(妻・子供)のために一生懸命働くことか?
自問自答した結果、出した結論が『自由』であった。私の人生にとって最も大切なもの、そしてこれまで悶々としながらも、実は求めていたものは『自由』であったのだ。でも、『自由』を得たところで、具体的に日々何をすればいいのか?
それは、自分が密かに憧れていた、そしてやってはいけないことと無理やり押し殺していた、『青春すること』だった。前述したように、ナンパをし、ギターやドラムを鳴らし、バイクでかっ飛ばすことである。
私は決心したのである。罪悪感を取り払って、五五歳にして『青春する』ことを。四十年の歳月を経れば、その形は変わらざるを得ないが、この歳で体と気持ちが元気で、あまりお金の心配がなければ、十分可能である。
実行するにあたって、どこから手を付けるかの問題が生じるが、マイク・マクマナスの書いた『SOURCE(ソース)』にも書いてあったのだが、私は全て同時に始めることにした。