【前回の記事を読む】取り壊しも検討していた…古い物件があっという間に満室になったヒミツ
第1章 不動産のお仕事
遠くから
後輩のYさんから、
「会社で、今度採用された社員に部屋を探してください」
と連絡を受けました。私は早々に連絡を取り、条件を聞きました。
「熊本には初めて来ます。ですから地理のことはよくわかりません」
大学を卒業して初めて社会人となり、就職が決まって喜びもつかの間、見知らぬ土地での生活が待っているというわけです。期待半面、不安も大きいことでしょう。どのような部屋がいいのか、それさえもよくわからない。
私は実際に部屋を見てもらいながら、いろいろと聞くしかないと判断しました。いくつかピックアップした部屋を、一緒に見ながら、少しずつ見て回れば、気に入った物件が見つかるかもしれません。
こんなときは、まず「生活しやすいところ」という条件を優先で考えます。会社までの距離、周りにスーパーや買い物できるところがあるか、コンビニとかも見てみます。また、車を使わないとき、市街地までのアクセスが良いかどうかなど。
それから部屋の内部の説明もします。これは希望を聞きます。好きなことや趣味のこと、部屋に友人を連れてくることが好きなのか、休日はどんなことで時間を過ごすことが多いか、料理は自分で作るのかどうかなど。質問形式ではなく、話の流れから聞き出します。なるべく相手を不安にさせないことに気を使います。
話をするうちに打ち解けることができるようになり、どんな部屋がいいのか、私のなかでイメージが出来上がっていきます。
そうしてなんとか条件がぴったり合う部屋が見つかりました。
「ここに決めます」
新入社員さんの不安が、希望に変わった瞬間です!