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第1章 不動産のお仕事
お部屋探し
ちなみにそのお客様は、親元を離れて独り立ちしようと決心し、新たな人生の再出発を考えているとのことでした。そんな事情を知ったら、こちらも何とか良い物件に巡り合ってほしい、と考えてしまいます。そこで私は、無理を承知で「犬なら良い」という物件に対して、猫を飼うことが許してもらえるのか、物件オーナーに交渉依頼をしてみました。すると、「少し時間をください」と管理会社の方に言われ、私は、「お願いします」と返事をしました。
すると翌日、返事が返ってきました。そもそもダメもとでお願いしたことで、難しいことはわかっています。心の準備をして返事を聞いてみると、「了解されました!」と管理会社の方は言ってくれました。
「ええっ〜本当ですか?」
猫が飼えるなら、その他の条件は満たしているので、お客様はきっと喜んでもらえる! 私は早速、お客様に連絡しました。それならすぐに見たい……とのこと。善は急げです。私はその日のうちに準備して、部屋の案内をしました。
「良いですね〜。こんな物件あったのですね〜。条件もぴったりですよ。ありがとうございます。嬉しいです〜」
そう言われると嬉しいのはこちらも同じです。希望の物件が見つかるというのは、まさに出会いです。ちょうど時期も良かったのかもしれません。今だから、この物件が空いていたのではないかと思います。もう少しあとだったら、他の人が決めていて、空室にはなっていなかったかもしれません。この部屋がまさに待っていてくれたのかも……? そういう一瞬の出会いが大きな喜びを与えてくれます。
「初めて一人暮らしをするんですよ。親とは一緒にいたい気持ちもあるけど、一人でやっていく力も必要なので、試してみたいんです!」
お客様は私に自分の気持ちを話してくれました。
「お母様は寂しいでしょうけど、子どもの成長のため、目をつぶって容認してもらわないと仕方ないですよね」と私も自分の気持ちを伝えます。
「母とはいつも連絡を取り合います」そう笑顔で話され、最後に、「良い不動産屋さんでよかったです!」と言っていただきました。
私は眼鏡を調整するふりをしながら、そっとあふれるものを人差し指で拭きました。良い出会いがあったとき、本当に嬉しくなります。お部屋探しは、人と物件の仲人役。どんな出会いが待っているのか、わかりませんが、ぴったりの出会いがあるまで、探して、喜んでいただくことが大事!
私はある日、そのぴったりなマッチングが、自分の幸せでもあることに気がつきました(^ ^♪
なぜなら、無事に契約が済んで仕事が終わった後は、ふっと、あたたかーい残香が私を包んでくれますから……(^ ^♪