驟雨の後
まだ湿っている地に釣舟草、露草
昨日は日照りの後の狂ったような驟雨
感情の奔流のような激しい降雨
苦しいあの日々を思い起こさせる
滑りそうな山道行けば杉林の間に
にぶい光を放って湖がみえる
道端の薊に焦げ茶のタテハチョウが ──
白く、差し出された心は虚しく空を切る
薄が淡い黄緑の穂を出した
あの女の心はもう戻って来ないのか
枯れ果てた林になった二人の世界はもう取り返せない
二人で紡ぎ合った輝かしい時は
もう過去のものになってしまったのだ
湿った秋の日に黙々と心を塞いで歩く