(5)農業改革(遊休農地、耕作放棄地の管理改革)

農業については事細かな政策ではなく、民間資本の導入などによる長期的視野に立ったマクロの政策により論じていこうと思う。

今後の日本の農業のあり方については行政も民間も大局的な視野に立って新たな制度を創出していくくらいの覚悟が必要となるであろう。それこそ終戦後に農地解放を断行した、それに匹敵するような改革が必要であろう。

戦後の農地解放はGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)主導のもと、資本が集中しすぎていた各業界や各階層の是正の一環として行われた。経済界においては財閥の解体、農業界においては明治以来、資本の集中により一部の豪農に土地が集中してきた当時の状況の是正を強権的に行ったのである。これにより、それまでは“水のみ百姓”といわれた貧しい農民が土地持ちの農家として営農し、貧富の差が縮小していった。

現在、日本は食料自給率が低迷を続けている。食料自給率については、カロリーベースと生産額ベースの二つの考え方があるのだが、ここでは実際に日本の国民が摂取するカロリーに基本をおいて状況を把握すべきと考える。カロリーベースの考え方でいくと日本の令和2年度の食料自給率は37%である(農林水産省「知ってる? 日本の食料事情」より)。

これら食料自給率の向上をいかにして図っていくのかということが大きな目標になっていく。それらを追求するには広大で良質な農地の維持と、農業の経営手法についての持続的な発展が必須となる。また、これらを実現していくには経済界の有する資本とテクノロジーをいかにして農業とマッチングさせていけるのかが大きな鍵になっていくであろう。

農業従事者が年々減少し後継者もままならず、今後も同じことを繰り返すばかりでは将来の展望など考えられない。お先真っ暗なのだ。だからそこをどうやって変えていき、夢の持てる食料の自給が図られるのかが大きなポイントなのである。

今までのつぎはぎだらけの農政を、それこそリセットすることが第一歩なのだ。国民の食の維持と、農地や山林を守っていくことが国土の保全という重要な役割に繋がるということもあって、農業改革は急務である。

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