【前回の記事を読む】「お大師さんを訪ねて四国八十八カ所霊場巡りに行こうか」
同行二人 2019年2月
自転車で行く次男の誠との四国巡礼は、私にとって意義深いものでした。先月は、無事を確認するためのベルが二人をつなぐ絆になったことをお話ししましたが、今回は自転車で敢行した巡礼だからこそ体験できた辛かったことや、嬉しかったことを聞いて下さい。
平坦な道を進む時の自転車は勿論歩くことよりもはるかに楽で、爽快で、より速く目的地のお寺に着くことができます。しかし、急な坂道の上に建っているお寺を目指す時は、まったく逆の状況となります。
八十八カ寺の中には山岳コースとも言うべき難コースのお寺がいくつもあるのです。中には「遍路転がし」と言われ、歩くだけでも大変な巡礼道もあります。そういう上りの時には自転車を降り、自分で自転車を押しながら一時間も二時間もかけて上らなくてはなりません。
それがまた一日に一カ所であればそんなに苦にはなりませんが、巡礼コースによっては一日に二カ所、三カ所と巡ることもあります。そうなるともうたまりません。
ある時、三カ所の高い山の頂上にあるお寺を巡礼したことがあります。それは徳島県のお寺を巡礼した時のことです。朝の出発時刻から、どのお寺を巡り、夜はどこの宿に泊まるというスケジュールを会社の人に手伝ってもらい作成していました。一日の行動の距離を80kmから100kmを目途にしていたのですが、その行程に高い山の頂上にある札所が三カ寺も組み込まれていたのです。
その日は朝九時に出発し、夕方の五時頃に宿のホテルに電話をしました。