ところが認知症が進行していくつもの関節に拘縮が見られる場合には、予防はおろか改善させることも非常に困難です。進行するのを少しでも抑えられる方法があれば良いでしょうが、確実なものはないようです。
その上、寝たきりになって身体が動かせないと、圧力がかかる身体の部分に褥瘡ができやすくなります。また、拘縮もさらに進行すると、手をギュッと強い力で握りしめて爪で皮膚を傷つけたり、手のひらの清潔が保てなくなり、真菌などによる感染症が起こったりします。
これらはケアの工夫である程度予防や軽減ができます。例えば身体とベッドやいすの間にすき間を作らないようにクッションやタオルを置いて適切なポジショニングを保ったり、定期的に身体の向きを代える体位変換を行ったり、手にスポンジなどを握らせたりする方法などがあります。
高齢者介護の相談窓口
家族が認知症ではないかと疑った場合には、かかりつけ医または神経内科、特に物忘れ外来などの専門的な医療機関で診療を受けることをおすすめします。症状が妄想や幻覚などといった精神症状が主な場合には、心療内科や精神科も適切です。
介護関係の相談は、市役所や区役所の高齢者福祉課や地域包括支援センターが窓口です。要介護認定の申請の手続きやどんなサービスが使えるかについて相談できます。要支援または要介護と認定されれば、ケアマネージャーを決めてケアプランを作成してもらいます。介護保険が使えるサービスの種類には、次のようなものがあります。
※注1 Clinical Stages of Alzheimer’s. Fisher Center for Alzheimer’s Research Foundation
※注2 関節可動域制限の発生メカニズムとその治療戦略、沖田実 理学療法学 41(8):523-530,2014