【前回の記事を読む】突然私の顔を見て父が「もうええわ」その言葉の真意に思わず…

今回は私事ながら、今は亡き妻の話をしてみたいと思います。今から25年前のことでした。当時、私が45才、妻は41才でした。

ある日、私の体を心配した妻が、「私も行くから一緒に病院に行って検査を受けてくれる?」と言い出し、二人で地元の総合病院で検査を受けたのです。 すると妻が心配した私の方は何事もなく、逆に妻に異常が見つかりました。

悪性進行胃がん、それも「印環細胞がん」という、手のほどこしようがない絶望的ながんであると医師から宣告されたのです。場合によっては余命数カ月と言われました。

四人の子供も手離れし、ママさん卓球でもしようかなと言っていた矢先のことです。当時は私の事業も苦闘の連続で妻には苦労の掛け通し。何も出来ていなかったですし、何より41才という若さであります。

想像すらできない悲しみ、苦しみに陥り、夜も寝られず、もんもんとする毎日でした。その時です、私の母が「どうせ寝れんのやろ。この本でも読んだら」と言って一冊の本を渡してくれたのです。 

それは『手術をせずにがんを克服した14人の記録』という食事療法を中心にした自然医学の本でした。むさぼるように読み終え、同類の本を片っぱしから読み、本で紹介されている自然医学者に直接会いに行って詳しく教えてもらったり、逆に西洋医学の知り合いの医者からがんのことを聞いたりと駆け回りました。

そして食事を中心にした東洋医学の原因療法で妻を治そうと決め、妻に言いました。「どうも病院では少し治療は難しいようや。食事療法でと思うけど、どうや?」と聞きますと、しばらく考えた後、言いました。「分かりました。あなたにお任せして病院を退院します」と。