そしたら案の定、二日後には警備室から連絡が入った。それによると、よりにもよって三人揃って、大きな紙袋を抱えて、こっそり末吉の病室に向かおうとしたので、面会謝絶である旨と、あなた方のことは病院中の職員全員が、奥様から聞いて知っていることを伝えて、即刻お帰りいただきました、とのことだった。

フミは、そのことを紘一と勝代にも話すと、三人で年甲斐もなくハイタッチしたり、手をたたきながら飛び跳ねて喜んだ。フミは自分の策略が見事成功したことが面白くて、万歳してリビングを歩き回った。末吉は酒も飲めずタバコも吸えなくなった。そのうえ、親しい悪友達とも会えなくなったことには、ことのほかまいったようだ。

だが、そのおかげで末吉は、病院内で表面的には模範囚(患者)となり、術後、自分の行いのせいで一時回復が遅いように思われた病状も、フミの監視(看病)のおかげもあって、予定どおりの日に、出所(退院)することができた。