明治二十一年(西暦一八八八年)十月ある日、京都御所に隣接する飛鳥(あすか)井(い)家の屋敷で、蹴鞠(けまり)の会が催された。蹴鞠は公家の嗜みの一つで、飛鳥井家の家職でもあった。万条もそれが得意で、大御門と一緒に子供の部に参加したのだ。だが、張り切って準備体操をしているときだった。ふと見れば、ひときわ身体の大きい少年が、一人混じっていた。明らかに体力差がありそうで、しかもそいつは、終始にやにやと笑…
[連載]維新京都 医学事始
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