グレゴールはこの大仕事でいっぱいいっぱいになっとって他のことを気にする暇がなかった、とそこへ聞こえたのは支配人が「ゲッ!」と叫ぶ声──さながら吹き抜ける風──そんで見えたのはドアのいっちゃん近くにおる支配人が、ポカンと開いた口に片手を押しつけて、目には見えんけど体全体を前から押す力に追いやられるみたいにジリジリ後ずさりする姿。母親は──支配人がおるっちゅうのに夕べっからほどいたまんまの髪がみごと…
[連載]大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]
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小説『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』【第7回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
【大阪弁のカフカ『変身』】「ゲッ!」と叫ぶ声──支配人、両親、妹の反応を見て冷静さを保っとんのは自分だけやと自覚したで「ほな」
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小説『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』【第6回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
【大阪弁で「変身」】グレゴールはじりじりとドアに近づき──歯というもんはないらしく…そんなんでどうやって鍵をくわえたらええのやら?
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小説『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』【第5回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
【大阪弁で「変身」】ほんまにどないしてん? 部屋に立てこもって返事いうたらハイかイイエだけ、ご両親にはいらん心配をおかけして―と責め立てられ
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小説『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』【第4回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
「もう支配人さんにお入りいただいてかめへんやろな?」――重苦しい沈黙が忍びこみ、右隣の部屋で妹がすすり泣きし始め…
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小説『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』【第3回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
ベッドにずっとへばりついてはおられん、あらゆる犠牲をはろうてベッドを脱出するんがいっちゃん理性的な判断やと思うものの…
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小説『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』【第2回】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
【カフカの名作を大阪弁で!?】「グレゴール!まだ家におったんかいな。 どないしてん?」名前を呼ばれて答える自分の声にギョッ!?
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小説『大阪弁で読む『変身』[注目連載ピックアップ]』【新連載】作者/フランツ・カフカ 翻訳者/西田 岳峰
「おれ、どないしてん?」ザムザがある朝けったいな夢から目覚めると…。カフカの「変身」を大阪弁で翻訳すると…どうなる!?