子育て~双子とオッパイ
私は双子を産んだと言うよりは、出してもらったと言った方が正しいかもしれない。帝王切開だった。
二卵性の双子。双子は、性も顔も一緒の一卵性と想像する人が多いと思うが、私の場合、性は男と女、顔はあまり似ていない二卵性である。要するに精子二つ卵子二つ合体したのだ。
私は妊娠してから五キロ体重が増えた。帝王切開で出してもらったら元の体重に戻り思わず軽くなったという実感がした。
一年で一番寒い二月に出産をした。病院の窓から外の景色を眺めると、道路わきに雪が残っているのが見えた。気温もマイナスだろう。病院を退院してから、新米ママの子育てがスタートした。
教科書通りに、三時間ごとのミルク授乳とオムツ替えはピタピタと子供たちはまるで時計を見ているかのように正確だった。二十四時間が三時間ごとに区切られていった。
私は子育てを楽しみたいと思っていた。はじめての育児。一日一日の成長を目に焼きつけ明るく笑って共に生きて行きたい。
夫は妊娠の報告をした時は、あまり喜んではくれなかったが、我が子を目の当たりにすれば必然的に変わると信じていた。父親の自覚を少しは持つだろうと期待を寄せていた。
しかし日が経つにつれそれは、私の思い違いであったと知る。淡い期待はいつしか消滅していった。
夫は毎朝、子供たちの顔も一秒たりとも見ずに出勤した。一日目、二日目…と指折り数えて十日たっても、我が子を抱っこしようとはしなかった。私は愕然としたが、隣りで泣く我が子にオッパイを飲ませオムツを替えながら母としての自覚を強調した。
夫のことに一喜一憂しているヒマはなかった。その時、舅と姑の部屋と今いる部屋の間の襖がサッと開いた。
舅がドカッといきなり入って来た。
「なんだ、そのひからびた乳は! そんなんじゃ、ちゃんと育たないべ。ウチのお母ちゃんなんて乳が溢れて大変だったんだぞ」