【前回の記事を読む】木にぶら下げ痛めつけられる男。「ナスを落としたから」?
ノーマンズランド(彼我の中間地帯)の夢
彼は樹の方に向かって歩き、恐怖のあまり脚を上に曲げたまま、樹からぶら下がっている男を見つめました。
樹の下には、明らかに兵士ではない大柄の黒人の男がいました。その男は何か粗布でできた長いドレープの衣を着ていて、司祭とか宗教者のように見えましたが、フォールは、むしろ陰湿で悪意あるエネルギーをそこに感じていました。その男は小型の、とても小さいブルーのプラスチック製の鋏を持っていて、顔に薄笑いを浮かべていました。
フォールにはなぜか、この司祭のような恰好をした男が、ぶら下がっている男の睾丸を切り落とそうとしていることが、わかっているようでした。またもや不思議なことに、フォールは平然とそこに行き、その男に面と向かって、「やめなさい!」と言ったのです。
そしてさらに、ぶら下がっている男を指さして、ハッキリと「この男の人はぼくの連れだ。ぼくの道案内だ」と言いました。あたかも、だから放してやれ、と言わんばかりに。その司祭のような恰好をした男は、ぶすっとしていましたが、従わざるを得ないと思ったようでした。
樹から「宙ぶらりん」の男は、何が起こっているのかわからないらしく、不審な目つきでフォールをじっと見つめていました。