「あっ!」

 
 
 

「余は、はるか天上界に居る龍王の二男で名前は(しゃく)(りゅう)だ!そなたの度胸と心根と剣の腕も全て好きになった。それにそなたの様なじゃじゃ馬姫は、余以外娶る甲斐性のある男は他に居るまい」

赤龍は羅技に息を吹きかけると、美しい女の衣を纏わせた。今まで着たことが無かった女の衣を纏っている姿に驚き、羅技は少し照れくさそうな顔をした。

「我は龍の和清の嫡男として里を守る為、男として育った。今まで女人の衣を着ることはなかった。いや、着たいと一度も思わなかった……」

赤龍は目を細めて優しく微笑んだ。

 

「そなたはとても美しい。よく似合っているぞ。そなたが羽織っている玉虫色に光る領巾は、余が妃を娶る時に、妃に与えよと父の龍王より贈られた亡き母上様の形見である。なよなよとした女は好きになれぬし、金切り声に虫唾が走って大嫌いじゃ。終世一人身で気楽におろうと思っておったのだが、そなたに出会って気が変わった!」

目を覚ました重使主と仲根は、女の衣装を着ている羅技を見て、目を見開いた。

「羅技様、そのお姿は!」