「だけど、カラヴァッジョを僕ら後世は知るようになったけれども、忘れられた、埋もれてしまった名人、画家に限らない、人類の記憶から抜け落ちてしまった忘れるべからざる人たちというのが無数にいるのさ」
八汐くんは憂鬱そう。訳を訊けない。わたしのせいに決まっている。
「淳さん、元気?」
昼休み、背中でエキスパンダーを引っ張りながら太洋が傍に来て訊く。
「うん」
「何作ってるの?」
「ジェンガのスティック」
「ふん……この頃筋トレしないからさ……どうかしたかな、って」
「どうもしない。仲良くジェンガで時間潰して十時にはベッドインさ」
「糞」