「ハッキリする瞬間て、どういう風にしてやって来たの? なんで、あんなに突然に起こるの? 頭で整理してないのに、一瞬のうちに心が変わったのは、どうして? どうやって、ぼくは恐れをなくすことができたんだろう?」

「おやまぁ、なんとすごい質問を一度にぶつけるんだろうね。落ち着いて、フォール。今にわかってくるさ。だけど、これだけは言っておこう。

人生には、閃きの瞬間がある。閃きのね。そして、それだけのことなのに、その変化の一瞬は、何世紀にもわたる失敗と成功、成功と後悔によりもたらされたものだ。長い年月の成長が、お前をそこへ導く。そして、あの特別な瞬間を引き起こす。それでいて、実はそのきっかけとなっているのは、お前の自由意思、自由な選択なのだよ。だから、われわれは誇らしく思うのだ」

そう言って、大天使ミカエルは再び去っていきました。

フォールの心は感謝でいっぱいでした。やりましたね! それは夢の中では簡単でした。ものすごく難しいと思っていたこと、不可能に近いと思っていたことが、一瞬のうちに「起こった」のでした。彼は、知覚が変わった時の「閃きの」瞬間を、何とも言えない「そうか!」という瞬間を覚えていました。

「そうだ、これも重要だな。時間が経つと細かいことは忘れちゃうから、忘れないうちに全部メモしておこう」

彼は夢日記を取り出し、思いつくままに、メモし始めました。「夢ってスゴイ! 中から教えてくれる。さっきの『恐怖を変えるこつ』みたいに。本で読んだり、セミナーで教わっても、『そうか!』という瞬間は、ここまでの説得力はないかも。単なる知的概念で終わっていたかも。その程度。ぼくの人生に大きな影響を与えることではないな。

でも、夢の中では全く違ってくる。夢は、最高の教師だな。そうだ! ミカエルさまが言ったとおりだ! 恐れは思いにすぎないんだ。ぼくの考え方が逃げることから招き入れることへと変わった時に、恐れは消えた。

夢が何を教えているかがわかる。恐れに向き合い、立ち向かうことだ。逃げ続けていたら、恐れが追いかけてくるだけだ」

フォールは一旦ペンをおきました。思い浮かぶものがあったからです。彼は急いで、夢日記に書き足しました。

「そうだ! この夢は、見方をちょっと変えるだけで、ぼくの世界全体が変わること、いや、ぼくの世界体験が変わることを示している。そういう意味では、ぼくは体験を生み出してるんだ、ぼくの世界を創り出してるんだ。これはスゴイことだ……わかってきたぞ。これは反応の問題じゃなくて、行動の問題だ。大事なのは、刺激に対して無意識に反応することではなく、生活の中で意識的に行動することだ」