ある日に

夕暮れの弱い光の中の

吐息のようにはかないゆらめき

君は二人の時も誰にともなく話しかけ

不確かな世界を行き来しているようだ

薄暗い林の中を流れるように

白く淡く漂って来る霧

僕は新しいものを見るように

君の揺れる髪の毛を見ている

もう樹木はその色を失って

静かな夕刻に一日を終わろうと

黒い影を深めて行く

店はまた一つ灯りを増やした

二人はもうこの店には来ないだろう

そしてこの日を思い出さないよう努めるだろう