家庭学習は保護者も一緒に
オーストラリアでは、家庭学習もカリキュラムの一部として重視されている。学校は「ホームワークポリシー」を策定し、保護者にも協力も求めている。小学校ではたいてい宿題が出される。中学校も出されることが多い。「宿題は終わったの?」と保護者が口癖のように言うのはそのせいかもしれない。
宿題は、読書、プリント、教科書に関連する課題、レポートの草稿、プロジェクト学習の調査などで、授業でやり残したことを完成させたり、コンピュータで作業したりすることも家庭学習となることがある。小学校の、特に低学年の宿題は読書が圧倒的に多い。
いずれにしても、目的が明確で、生徒のニーズに合ったもの、学年レベルに適したもの、個々の学習ニーズに対応したもの、授業に結びつくもの、自立した学習者の育成を促すものが重要とされている。各州は家庭学習のガイドラインを作成し、目的や意義、実施方法、時間の目安、保護者の関わり方などを示している。
家庭学習の目的は、授業で学んだことを家庭で復習し、定着させ、次の授業につなげることであり、特に、小中学生にとっては自律的な学習習慣を身につけることが重要な目的となっている。家庭学習は1日単位、週単位、2週間単位などで取り組み、目安としては就学前教育で短時間の読書、1~3年生で1日15~20分、4~6年生で週2~3時間、6~7年生で週3~4時間、8~9年生で週5時間程度の学習とされている。
必ずしも学習時間が長ければよいというわけではない。短時間でも目的をもって、集中して行うことが効果的だとされている。家庭学習には保護者の関わりが推奨されている。そのためのマニュアルを配布している学校もある。
特に、小中学生の保護者には、子どもが遊びの時間とバランスを取りながら家庭学習の時間を確保し、きちんと学習を終えるよう適切にアドバイスすることが求められている。確認のサインを求める学校も少なくない。日本の学校で、家庭学習に保護者の協力を求めたところ、「忙しくてそんな時間はない」「教師がやるべきことをなぜ保護者にやらせるのか」という苦情が来たという話を耳にしたことがある。
確かに、忙しい保護者であれば子どもの家庭学習など見ていられないというのが正直なところだろう。オーストラリアでも同じだ。誰もが子どもの家庭学習に付き合えるわけではない。そのため、学校はホームワークセンターなどを設置して、家庭学習の支援や補習を行ったりしている。特に、低所得家庭や先住民族の生徒が多い学校では、地域のボランティアなどを活用して積極的に支援している