小学校ごとに学童保育がある
日本では、子どもが小学校に入学すると下校後の子どもの居場所に頭を悩ませる保護者は多い。仕事を持つ親にとっては特に大きな問題だ。入学したばかりの子どもは下校が早い。誰もいない家に子どもを一人で置いておくのは不安だし、何かあったときの対応も子どもだけでは心もとない。
祖父母などが近くにいればよいが、そうでない家庭も多い。祖父母を頼れないこともある。わが家もそうだった。幸い、家政婦さんに家事と育児を任せている同級生の家族がうちの子も一緒に預かってくれると言ってくれたので、お願いすることにした。とても有難かった。
オーストラリアでは、ほとんどの小学校で学童保育(Out of School Hours Care)が行われている。学校の近く、あるいは、学校の施設の一部を使って行われるが、運営するのは保護者組織や民間の業者だ。学校が直接管理するのではない。子どもの世話は資格を持つ保育士が行い、室内での活動や外遊びなどを行う。保護者が仕事を持たなくても、また、他校の子どもでも預けることができる。
その学校に勤務する教師がわが子を預けることもある。保育は放課後だけでなく、朝も行われている。平日は朝の7時前後から始業まで、放課後は授業終了から午後6時ごろまでで、送迎は保護者あるいは登録した者が行う。朝食が提供されることもある。休日や長期休みも運営され、遠足などのイベントも行われる。
費用はまちまちで、平日や休日によっても異なる。ある学校の保育時間と費用は以下のようになっている(2018年、費用は1回あたり)。始業前は午前6時45分から8時45分で、14ドル50セント、放課後は午後3時から6時までで19ドル50セント、休日は午前7時から午後6時までで44ドル。他に15ドルの年会費が必要(1豪ドルは75円。2020年5月現在)。
所得に応じて政府の財政支援もある。学童保育に限らず、オーストラリアの保育はかなり充実しているように思う。11歳未満の子どもを一人で留守番させることが法律で禁じられていることも理由の一つかもしれない。