年齢の違う子が同じクラスに在籍
年齢の違う子どもが同じ教室で学んでいるのをよく目にする。
学年編成は日本と同じく同年齢が基本だが、異年齢の編成も少なくない。そのようなクラスは「5・6年クラス」などと表示されている。異年齢クラスは特に小学校に多く見られる。
小学生は発達の個人差が大きく、同じ年齢だからと言って発達レベルも同じとは限らない。異年齢の子どもが一緒に学習する方が効果的だという研究結果もある。
遠隔地の学校は異年齢クラスが多い。遠隔地では生徒も教師も数が少なく、複合クラスにならざるを得ないことが多いのだろう。
小学校入学時点ですでに年齢が違うことも少なくない。
義務教育の開始年齢は5、6歳だが、就学の準備が十分でないと思えば保護者は就学を遅らせることができる。
また、12年生まで年齢に応じて進級するが、留年もある。
留年というと日本ではマイナスのイメージがあるが、オーストラリアは違う。学習目標が達成できていないまま進級するより、もう一年しっかり学習して学力を確実に身につける方が大切だと考える人が多く、むしろプラスに捉えられている。
特定の教科だけもう一年繰り返すという場合もある。
誰もが同じペースで学習するわけではなく、学習効果の表れ方も生徒によってまちまちだ。年齢にとらわれることなく、学力をしっかり定着させることに重点を置くオーストラリアの教育には合理性があると思う。
習熟度別(ストリーミング)授業も盛んだ。
学年を跨いで学習することも多く、3つの学年の生徒が同じ算数の授業を受けているのを見たことがある。子どもたちも保護者も年齢をさほど気にしていないように見える。
オーストラリアでは障がいのある子どもとそうでない子どもが同じ教室で学習するインクルーシブ教育が推進されているが、そうした学校では異年齢クラスは一般的だ。
教師も複数配置される。表はそうした学校のクラス編成を示している(初等教育は当時は7年間だった)。
この学校には同年齢クラスと異年齢クラスがあり、さらに、障がい児と健常児が混在する統合クラスが複数設定されている。統合クラスはすべて異年齢構成で、担当教師は3名配置される。通常クラスは生徒数に応じて1名から3名の教師が担当する。