ふざけんな
八月三日(水)
一晩おいて、心菜さんからまた次の返信があった。
〈おはようございます。お返事ありがとうございます――〉
――証人として立つかどうかについては、もう少し考えさせてください。こんなことは初めてなので、どうしたらいいのかわかりません。相談したい人もいるので……。
それに私は、まだ彼のいいところしか見ていないと思います。ただ楽しい時間だったことは事実なので、それは感謝しています。憎いとかではなく、ただ悲しいです。
私は今年四十三歳です。ご主人は、私より十歳上だと言っていました。知り合ったのは私が勤めているお店ですが、もう来ないと思うので、ご安心ください。
ふたたび心菜さんに……。
〈いきなりの質問に答えていただいたこと、本当にすみません。ありがとうございました――〉
――主人の浮気相手が、私よりも娘たちと年齢が近かったらどうしようかと思ってましたが、私とほとんど変わらないんですね。主人のいいところしか見ていないとのことですが、たぶん、私の結婚生活をお聞きになったら、結論は私と同じだと思います。
証人をお願いした件ですが、昨日あれから市の女性センターに行って相談してみたところ、心菜さんに来ていただかなくても、私の持っている証拠で十分有効みたいなので……様子を見て今後のことを考えます。
主人と一時的にでもお付き合いをされた方と、今こうしてお話しできていることに、自分自身、不思議な感じがします。こういう形でなければ、仲良くお話しすることができたのではないかと思いました。お忙しいところ本当にすみませんでした。深夜のタクシーこと、たーの家内より
〈深夜のタクシーって……「乗り過ごした」ってメールがきた、あの夜のことですね。そういうことだったんですね!――〉
――ホント、もう笑っちゃいます。少しは心を入れ替えてくれればいいんですけど……。
私も、こんなことで知り合わなければ、奥様とお友だちになりたかったな。もし、ご迷惑でなければ、これからも時々お話ししませんか?