三十年代以降、ナイトクラブやブロードウェイで振付けにダンスにと活躍し、四十年代にはコロンビアの撮影所内に自身のダンス教室を持ち、独自のメソッドでダンサーを育てた。
多くのミュージカル映画でも振付けを手がけ、リタ・ヘイワースやマリリン・モンローなどの指導も行っている。「ジャズダンスの基本的語彙を作り上げた」と言われるコールは後の世代にも強い影響を与えた。
その中には、直接の弟子であるグウェン・バードンやキャロル・ヘイニーだけでなく、ジェローム・ロビンズ、ボブ・フォッシー、ガワー・チャンピオン、マイケル・ベネットらブロードウェイの著名振付家も含まれていた。
東洋風の身体操作や感情を抑えたクールな表現法など、ある意味でジーンとは対極にある振付家であった。「魅惑の巴里」のストーリーは次のようである。“バリー・ニコルズ&レ・ガールズ”は、かつて欧州で活躍した歌とダンスのグループ。
リーダーで振付家のバリー(ジーン)と三人の女性ダンサ――シビル(ケイ・ケンドール)、アンジェル(タイナ・エルグ)、ジョイ(ミッツィ・ゲイナー)――が中心メンバーだった。
英国貴族と結婚したシビルが回想記を出版するが、その内容に名誉を傷つけられたとアンジェルが訴えを起こし、ロンドンで裁判が始まる。証言台にシビル、アンジェル、バリーの三人が立ち当時の人間関係を語るが、それぞれの話は全く異なっていた。
バリーの証言の結果誰も傷つかないことになり、裁判は和解で決着する。しかし、法廷を出たバリーが乗り込んだ車には彼の妻となったジョイが居り、その辛らつな言葉に結局何が真実なのか判らないまま終わる。