小説 『超能力探偵 河原賽子』 【第41回】 春山 大樹 私に会いに上京したはずの母。しかし、位置情報が示したのは板橋区の民家…そこは末期患者のための治療院だった。 【前回の記事を読む】「母は相当ひどい状態」と聞き、久しぶりに上京した母に「健康だよね?」と聞いた。すると、しばしの沈黙をはさみ…翌日、麻利衣は事務所のソファで足を組んでコーヒーを啜っていた賽子の前に右手の握り拳を固めていきなり立ちはだかった。「何だ、そのしかめ面は。腹でも痛いのか」麻利衣が拳を賽子に向けて突き出し、手首を回して掌を開くとそこには1個のサイコロが握られていた。「やはり私はあなたの超…
小説 『花房藩釣り役 天下太平』 【最終回】 石原 しゅん 往来でドジョウ掬いを踊る大男…誰もが目を逸らしたが、男は「こいつを死なせるものか」と真剣だった。実は、彼が持っていたのは… 【前回の記事を読む】毎晩2合の晩酌をする父の習慣が、あの事件以降途絶えた。理由は「家族への申し訳なさから」と思っていたが、実際は…お沙汰が降った後は飲んで良かったのだが、出ないから飲まなかった。それだけの事だった。「あー、五月も飲むか」そういえば、五月と飲んだ事はなかった。「はい、いただきます」五月は酒が嫌いではない。嫌なのは、父や父の客と飲む事だった。だけど、今の父となら飲んでも良い。二合を飲…