渦の蒐集
卓袱台の上に何かがのっていた。一見ゴミに見えたが、オブジェのようにも見える。白っぽくて、くしゃっとしたこぶし大の何かだ。
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「これです」
彼女は厳かに言うと、ひどく有り難いものでも見る目でそれを見た。私は言葉を失ったまま、卓袱台の上に鎮座している物を眺めた。見れば見るほど、珍妙極まりない物体である。強いていうなら、大きめのエリンギを乾燥した場所に二週間ほど放置した後、無理矢理二つ折りにし、彫刻刀でランダムに傷をつけ、表面におがくずや何かの皮をボンドでくっつけたような、そんな代物だった。しなびて腐りかけたマッシュルームのような物も、二、三個表面にくっついている。
鼻息の音に気付いて私が物体から視線を外すと、彼女が興味津々に目を光らせて私を見ていた。なんらかのコメントを欲しているのは明らかである。私は焦って、再び物を見た。どう見ても、切り株とは思えない。
「……とても、小さな木だったんですね?」
なんとかそれだけ言った。鼻息がやんだ。いいえ、と強い口調で否定される。
「見事な大木だったわよ」
昔を懐かしむように彼女は目を細めた。