「そういえば、仙台のジャズ喫茶で『花の館』って知ってる?」

「ライブハウスなら知ってる。結構有名だよ。国分町の?」

「そうそう。ステージがあって、ライブも出来るって言ってた」

「誰が?」

「うちのドラムの子。ほら、こないだすっげぇ上手い子いるって言ったろ? お父さんの店だって」

「ええええ! 花の館の子? マゴか! 凄いね。その子のお父さんは知らないけど、お爺ちゃんは知ってるよ。もしかして臼井さん?」

なんだよ、急にテンション上がったな。

「そう」

「やっぱり~。お母さんね、その子のお爺ちゃんのお弟子さんに高校のときドラム習ってたんだ」

「じゃあ直接は知らないんじゃん(笑)」

「そうだね(笑)。でも憧れたなぁ。そのお弟子さん、一朗さんに、他のメンバーと一緒に一回だけ館(ヤカタ)に連れてってもらったことがあって、ニューイヤーパーティみたいなときにね」

「へぇ」

「かっこよかったよ~。マスターたちのセッションが。マスター、元プロだからね。高校生から見ると、それはもう眩しい大人の世界。あっ、お酒は飲んでないよ?」

「わかってるって(笑)」

「その子はどうして川崎に?」

「お母さんの単身赴任って言ってたけど」

「ふうん、しっかし、いい子見つけたね~。今度連れておいでよ」

「ヤダよ。平日アナタ遅いじゃん」

「お休みの日でもいいからさ。そうだ、ライブ観にいくわ」

「お好きにどうぞ」

やっぱりただ者じゃなかった。三代目のドラマーか。やべえ、ベース練習しよっと!