男性保育士が微増
保育所で男性保育士を見かけたことはあると思う。最近では男性が保育現場に立つということも増えてきて、二〇一五年で五・三%を占める(賃金構造基本統計調査)。
保育所だけでなく児童福祉施設での保育士の需要が高まってきたというのが一つの要因である。保育所に限らず、児童福祉施設での仕事は力仕事や体力的な仕事が多く男性保育士のニーズが高まってきたと考えられる。
男性保育士による好影響と偏見
保育所に男性保育士がいることで子育てに対する父親の考えが良い方向に向くこともある。父親側からも「男性保育士がいることで話がしやすい」などという声もある。また子どもに対しても女性保育士だけの保育所よりも男性保育士がいるほうが、家庭や実社会と同様で良い影響を与えることもある。
さらには職員側からしても女性だけの職場よりも活気が出て、お互いに良い刺激を与えられるとの声もある。とは言え、一部の保護者の中には、「男性保育士には女児のおむつ交換や着替えなどして欲しくない」との意見もある。特に、千葉市が発表した「男性保育士活躍推進プラン」をめぐり反響が広がった。
つまり、男性保育士への抵抗感を感じる保護者の意見と、保育の現場には男性保育士が不可欠との意見の両方がある。実際問題として、男性保育士の女児担当外しは性差別との見方もある。
保育士は国家資格であり、同様に医師も国家資格であるが、男性医師への抵抗はあまりないだろう。ちなみに二〇一五年保育士試験の合格率二二・八%に対し、医師国家試験の合格率は九一・二%である。
では、男性保育士と男性医師における社会からの抵抗感の違いは何か。保育士資格というプロフェッショナルの歴史が短く、社会的な認知度が十分でないことに起因していると思われる。
前述したように、一九九九年四月一日、男女雇用機会均等法の大幅な改正に伴い、児童福祉法施行令が改正され性別に依存しない保育士に改称された。私は千葉市の熊谷俊人市長の男性保育士の活躍を推進する発言には感動した。
千葉市が「男性保育士活躍プラン」男性更衣室の整備など促進
日本経済新聞二〇一七年一月二四日
千葉市は市立保育所に勤める男性保育士の「活躍推進プラン」をまとめた。男性用更衣室の整備を促進したり、保育士を目指す男子学生への働きかけを強化したりすることが柱。保育士が性別に関わらず、平等に能力を発揮できる環境を整える狙いだ。
2017年度から10年間を計画期間と位置づける。
プランでは男性保育士のキャリア形成のため、保育関連施策を担う市役所のこども未来局などへの配属を進める方針を明記。現在はゼロの男性保育所長を2022年度までに1人、2027年度までに5人に増やす目標を掲げた。男性用トイレの整備促進や、男性保育士による父親向け育児講座の開催なども盛り込んだ。
千葉市の男性保育士数(正規職員)は2016年4月1日時点で50人と、女性の1割以下となっている。熊谷俊人市長は「育児の中で男性だから担える重要な役割がある」と指摘。女児の保護者から男性保育士による着替えを拒む要望があったことを踏まえ「社会として男性保育士への理解が進む状況をつくりたい」と話す。
男性保育士についての私の意見
まだまだ男性保育士への偏見は多い。男性保育士の活躍を肯定する意見が今後増えていけば、男性保育士も肩身が狭くならないだろう。待機児童の問題が深刻化する中で、そして保育士不足の現状で、また男女雇用機会均等法の観点からも、一部の保護者の中の、「男性保育士には女児のおむつ交換や着替えなどして欲しくない」という偏見には、失望を禁じえない。このような偏見は保育士というプロフェッションのプライドやモラルを大きく傷つける。
私自身、三月時点で二三人の担当する子どもたちの半数は女児であり、女性保育士と一緒に保育に従事している。また四月に開園の新しい保育所なので、男性専用のロッカールームもあり、働きやすい環境である。このような偏見が早くなくなる社会になることを希望する。