全国的に女子が多い部活だが、神奈川も例にもれず、女子女子女子、女子ばっか。頼りがいのある姐御、切れ味鋭いツッコミをかます面白い奴、繊細でかばいたくなるザ・女の子、色んなタイプがいた。

休みがほぼなく、運動部の応援にも駆り出される過酷な日々を、地味に繰り返される練習と、共に過ごした時間のつくる連帯感と仲間意識で、なんとか駆け抜けた。最初は、女の園に圧倒されたが、同じ目的でがむしゃらに進む仲間に、オトコもオンナも関係ない。俺ら二人は入部当時小さかったので、綺麗だが怒ると鬼の形相の辻先生にチビッ子ギャングと呼ばれ、かなりイジられたがそのせいかすんなり皆に馴染めた。

ハロウィーンで女装したとき、佑ほか運動部の連中が異様にテンションが上がり、調子こいた奴に襲われそうになったから、俺はいわゆる女顔ってやつなんだろう。ゆるくかかった天パに、女子に羨ましがられるうっとうしい長い睫毛。ゴツくない顔の輪郭が女装する上でけっこう重要というのは、輪郭フェチの親父から聞いて知っていた。

「何ニヤついてんだ、あぁ?!」

イキッたバカに絡まれがちな、意思にカンケーなく常に口角の上がった口元。自分も好きでよく構うが、小さい子どもにやたらと好かれるのも、初めて行った街でよく道を聞かれるのも、きっと人畜無害オーラがあるんだろう。

自分から告ったことはないが、保育園、小学校、中学と、それぞれ一人ずつカノジョが、いた。