セットリストNo.2(第二章)
20 Friends – Jody Watley
「気をつけてね、おやすみ」
新二が言い終えたと同時に、エンジンに火を入れる。地下駐車場から表通りへ出て、右折。首都高に再び乗って、今度は横羽線で横浜を目指す。
横羽線に入ってしばらくすると羽田空港がある。もう少し早い時間だったら、幻想的なイルミネーションに彩られた滑走路を、一瞬視界にとらえることができる。これも、横羽線を走るときの楽しみの一つ。
東京と神奈川の境で、今まで羽田線だった道が横浜線に変わる。これが、横羽線と呼ばれる名前の由来だ。その場所には料金所がある。
一旦、フィアットを停止させて料金を支払う。料金所の先にゆれながら回転する赤いランプを、翔一は確認した。
『なんだ?』
一瞬、思ったが、なんということはない、あれは間違いなく警察車両がいる証拠だ。様子を見ながらスピードを抑えて走り出すと、案の定。偉そうに『止まれ』って文字が入っているでかい旗を持った交機(交通機動隊)の制服が、彼の視界に乱入してきた。
彼はゆっくりとフィアットを止めて、窓を開けた。
「なんでしょうか?」制服に声をかけた。
「この先で死亡事故が発生しました。シートベルトの着用は大丈夫ですか?」
そう言った彼は、助手席側へ回って翔一のフィアットに、いやーな視線を向けている。
「ちゃんとつけてますよ」
笑顔をつくって言うと、奴は
「ご協力有難うございます。くれぐれも安全運転でお願いします」
そう言って敬礼をした。
「ご苦労様です」
そう言い残して、アクセルを開けフィアットを加速させた。