「先生、お疲れ様でした。なんか今回はちょっと短めでしたね」
「すいません。このコマはどうしても短めになってしまいますので」
東京のスタジオでの出張収録講義だった。この授業は全国の受講生にオンライン配信される。西日本在住の講師浜田にしてみれば、言わば地域密着のピン芸人がいきなり全国区の番組に出演するようなものだ。講師浜田は、微力ながら全力の講義をした。その満足感とともに、帰路に就いた。
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浜田賀丸(がまる)。公務員試験の講師をしている。もともとは国際省に勤めていた。
高校時代修学旅行で韓国に行ったことが、講師浜田のその後の国際省への進路を決定付けた。この修学旅行こそ講師浜田の原点なのだ。
当時の修学旅行では飛行機が使えず、鉄道と船でソウルとキョンジュ(慶州)とプサン(釜山)を一週間弱で廻った強行軍だったので、講師浜田が所属するサッカー部の仲間をはじめ、同級生は皆「北海道がよかった」と口を揃えた。
しかし、講師浜田は現地の高校生との交流会で、初めて外国人と英語で意思疎通を取ることができ、とても感激した。
この交流会では現地の高校生と一対一で話し合う機会があった。反日の韓国人学生も多く、「一九五〇・六・二五」(朝鮮戦争が始まった日)と筆談する学生もいた。
日本が朝鮮半島を支配していて、戦後アメリカが韓国、ソ連が北朝鮮を占領したので、日本の支配がなければ朝鮮半島は分断されなかったというのが、反日の学生の考え方である。
講師浜田の筆談相手はそういう「歴史問題」に触れない鷹揚な感じの学生で、人当たりがよかった。
講師浜田が自宅から高校までの通学経路について、筆談と英語を使いながら説明すると、ふんふんと興味深く聞いているような相手だった。
その後も文通をしていたが、南米のボリビアに移民として出国したという連絡を最後に、交流は途切れてしまった。
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