「今度、看護科の女の子と合コンあるんやけど、ヒマやったら来ん?」

隆志は一瞬怪訝そうな顔を浮かべて、「ヒマやったらな」とだけ答えて去った。

大失敗だ。つまずいた。これで隆志は他のグループに入るかもしれない。ケンカ強そうなのに……。

そしてその隆志の入ったグループが盛り上がっていれば、新一郎もそっちのグループに流れてしまうかもしれない。そうなればそのグループが農学部の一軍だ。

次の日の講義、僕は隆志の前の席が空いてたので村崎とそこに座った。振り返ってもう一度話しかけようとしたができなかった。あまりにも下からヘラヘラいきすぎると、それはそれで舐められる。あくまでも対等な関係のまま、仲間にしなければいけないのだ。

そんなとき村崎が、何の気なしに隆志に話しかけた。

「ペン使う?」

振り返ると、隆志は筆箱を忘れているようだった。それに村崎は気づいたのだ。

「あ、ああ」

隆志は小声でありがとう。というとペンを受け取った。村崎、お前は良い働きをしたかもしれない。講義中、村崎がある紙を僕に差し出してきた。

その紙にはヤンキーの似顔絵が書いてあり、その上に「西中の尖ったナイフ、山本龍二」というキャッチコピーと名前が書いてある。その下には「攻撃力1500守備力800」という文字。

僕もノートを1枚破り、ヤンキーの似顔絵と情報を書く。

「狛江の狂った狂犬、真柴兄」

「攻撃力1700守備力700」

僕と村崎の間で高校生のときからやっているオリジナルゲーム、ヤンキー遊戯王だ。

お互いにヤンキーを書いて、デッキを作り戦わせ合う。

今思えば何が面白いが全く分からないが、当時の僕らは何故かこれをゲラゲラ笑いながらよくテニス部の部室でやっていた。

村崎の書くヤンキーの絵とキャッチコピーが絶妙なのだ。

「攻撃、真柴兄は攻撃力1700だからオレの勝ちな」

「うわー負けた。てか待って、お前これ。狂った狂犬って……二回狂ってんじゃん」

「ほんとだ。ははっ……」

「ははっ」

後ろから笑い声が聞こえた。

隆志だ。隆志が見ていた。大学デビューを決めた僕は、こんなオタクみたいなダサいこと誰にもバレないように小声でこっそりやってたつもりだったが、隆志は後ろから全部見ていたのだ。

次回更新は4月19日(日)、21時の予定です。

 

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「こ、今度みんなでコンパしない?」童貞だって絶対にバレないように、自然に誘う。ギャルに舐められるわけにはいかなかった。

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