僕の頭にはパーっと宮崎の風景が広がった。青い海。水着の美女に囲まれアロハシャツでほほ笑む僕の姿。

村崎が宮崎大学に行こうとしていることも知った。完全に零から始めるより、気を許せる友達が一人でもいた方が心強いかもしれない。

僕は宮崎大学を受験することに決めた。

大学の入学式の五日後、僕らは三人で大学の学食にいた。

僕と村崎、そして入学式のときに僕が勇気を出して話しかけたオシャレ関西人、新一郎だ。

「そのピアス、おしゃれだね」

入学式で僕はまず新一郎が左耳にしていたピアスを褒めた。

「お、マジ。これ入学祝いに姉貴に買ってもらったヤツやねん」

「めっちゃいいわ、スーツもなんか高そうなもの着てるし、なあ、村崎」

「うん。俺もそのスーツ着たいわ。一万で売ってよ」

「んーそれはサイズ的に無理ちゃう?」

新一郎がツッコむと場が和んだ。

村崎に話を振ってよかった。やはり村崎は高校でも一軍の連中に可愛がられていただけのことがある。

新一郎はとても気さくなヤツで、ピアスとスーツのセンスに始まり、スタイルや関西のノリの良さを褒めるとすぐに心を開いてくれた。

そして、新一郎は僕らの仲間になったのだ。

高校生活で僕は学んでいた。あのときは、自分から声をかけたり、一歩踏み出す勇気が出ずに、変に声をかけられるのを待って、一軍入りが取り返しのつかない時期になってしまった。

変にカッコつけたりせずに、女子を口説くときくらい褒めて、ありのままに感情表現をする。向こうだって友達は欲しいはずだ。

良い印象を与えて、大げさな媚び売りにならない程度に気持ちのいい思いをさせれば、いったんは友達認定をしてもらえるはずだ。

スタートダッシュこそ肝心というのが、絶対なのだ。そして初めに誰と仲良くなるのかも。

次回更新は4月18日(土)、21時の予定です。

 

▶この話の続きを読む
イキった髪形にイキった発言。強そうなヤツから「……いやオレん家、農家なんやけど」と思わぬ返答をくらい...

👉『僕の大学デビュー天下取り物語』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】私の体を滅茶苦茶にしたあの人は、さえない中年の教師だった。前の席の女子が思わず「キモイんだけど」と漏らすような。